そんな思いの中、張本人の相手、水嶋も大人しくじっとしているタイプではなかった。
このまま自然消滅なんてさせやしない。
こう見えて野心家の水嶋。普段穏やかそうに見えても芯はとても強い。自分の思いはしっかりと貫き通す性格だ。
この時、その事に気付いてない璃子はこの先に起こりうる出来事に当然まだ気付くはずもなく…
「仁科さん」
「えっ…」
そんな帰り道、璃子はまさかの展開に死にかけの魚のように口をパクパクさせた。
2ヶ月ぶりに見る眩しいほどの人物が爽やかな笑みを浮かべ、璃子の方へと近付いてくる。
「お帰りなさい。ずいぶんと遅いお帰りだったんですね」
「なっ…」
アパートの前に水嶋がいる。どうしてかあの水嶋が目の前に立っているのだ。
「えっ、どっ、どうしっ!?」
「ビックリさせてしまってすみません。でも少し強引でもこうでもしないと会ってもらえないと思って」
「えっ」
「最近仁科さんがそっけない気がして、何だか不安になってしまい、仕事の立場を利用してここまで来てしまいました」



