「ていうかさ、別に今すぐに結婚するわけじゃないんでしょ?何も副社長に結婚してほしいなんて一言も言われてないじゃない」
「あ、まぁ…ね」
「だったらそんなに重く考えずに試しに付き合っちゃえばいいじゃない。結婚はそれからの話しだし、付き合ってみてやっぱり無理ならその時また考えればいいんじゃないの?」
「……」
「たくっ、璃子は考えが古いのよ。もっと気楽にやんなさいよ。うちらはさ、まだ23なのよ。まだまだ恋愛のチャンスなんていくらてあるんだから、とりあえず今は色んな人と付き合って恋愛経験を積むべきよ」
恋愛、経験ねぇ…
璃子は思った。普段可愛く、モテまくってるマユにはそうかもしれないが、普段冴えなく恋愛にあまり縁がなかった璃子には今回の水嶋の存在はとても貴重なものなのだ。
しかも嬉しいことに向こうも璃子に対して好意をもってくれている。
こんな素晴らしいことなんてそうそう起きることはないと思う。
「まぁさ、ここは若さの勢いでドーンといっちゃいなさいよ!」
「あー…」
それで失敗した人を2人ほど知ってるんですが…
そう思ったが、そのことはあえて言わず、璃子は結局曖昧な気持ちのまま、その後二人の飲み会はお開きになった。
複雑な思いは晴れないまま、やっぱりうじうじと悩んでしまう自分が嫌で、璃子は自分自身の顔を何度も叩きたくなった。



