それからの璃子の行動はあからさまだった。
本人はいたって然り気無くのつもりだったが、所詮は恋愛ベタな璃子。
水嶋への返信メールはそれなりに返すものの、自分から水嶋にメールすることは一切なくなっていた。
しかも水嶋からの「今度いつ会える?」という内容には決まって「ごめんなさい、今忙しいの。その日は用事があって」のお決まりの言葉でやんわりと拒否。
璃子は璃子なりに、極力水嶋と会わないことで彼への気持ちをこれ以上膨らませないようにセーブしていた。
ーーー
「しっかし、あの水嶋さんが副社長とはねぇ」
「……ん」
「…で?それで水嶋さ…、副社長のことは順調に忘れられてるの?」
久しぶりの仕事終わりの居酒屋。
璃子はマユを誘って今まであった出来事や心境、今の状況を駅の近くの行きつけの場所でじっくりと聞いてもらっていた。
「それが……」
「無理なんでしょ?」
「……はい」
璃子は素直に頷いた。
頷いたというよりは項垂れたと言った方がいいのかも知れない。
「ほーら、やっぱりねぇ。そんな簡単にいくわけないじゃない。璃子は甘いのよ。もっと自分の気持ちに素直になんなさいよ」
「うっ、マユちゃ…」
「ほぉら、泣かない。好きならそのまま四の五の考えずに付き合っちゃえばいいじゃないの。何をそんなに深く考えてるのよ」
「だってさ、私には恐ろしい刺客が…」
「それが何よ。それでも副社長のことが好きなんでしょ?距離をおいてみたらもっと余計に会いたくなっちゃったんでしょ?だったらもう降参しなさいよ。
副社長からくる毎日のメールも本当は嬉しくて仕方ない癖に」



