☆お見舞いに来てください☆


その日の夜、久しぶりに実家に帰った璃子は1ヶ月ぶりの母親の手料理を食べていた。


「お母さんまた料理の腕をあげたんじゃない?」

「そう?実はこの煮込みハンバーグ先週の料理教室で覚えたものなのよ」

「へ〜」


56才の母は最近料理にハマってるらしい。

近くにあるこの辺じゃ有名な料理教室に通っていて、毎週楽しみにしている。

最近じゃそんなウキウキとしている母を見るのが璃子は好きだった。

母一人、姉一人、そして私。

璃子が小学生の頃に両親は離婚していて、シングルマザーの母が一人で姉と璃子をここまで育ててくれた。

今じゃ2LDKの古いアパートに住んでいるが、まだ父親がいる頃は大きなお屋敷に住んでいた。

何故なら父は金持ちだったから…

父は建設会社を経営していて、お金には不自由しなかった。
むしろ贅沢三昧で、幼い頃は家にお手伝いさんまでいたほどだ。

そんな贅沢の暮らしの裏で夫婦関係は泥沼だった。

父は度々外で愛人を作り、その度に母は泣いていた。

子供好きな父は璃子たちには優しく、いい父親だったが、母親に対する仕打ちは子供の私から見ても酷いものだった。

そんな状況の中事態は最悪な方向へ進んでいき、挙げ句の果て他所で子供をつくり、父がその子を認知したことで、母はついに愛想を尽かしたのだ。