「バカだな…」
「……ごめんなさい。でも先生だけは失いたくなくて」
「もっと早く言ってくれればよかったのに」
先生の腕の中は温かい。
優しい口調とは裏腹に抱き締める力は強くなる。
「こんな私でごめんなさい」
「謝らなくていいよ」
「でも……」
「ずっと今まで苦しかったでしょ。一人で抱えてしんどかったんじゃない?」
思わず先生の胸の中から顔を上げた。
どうしてそんな…
こんなに優しい言葉をかけてくれるんだろう。
「こんな女、面倒くさくいでしょ?面倒ならちゃんと面倒って言ってくれていいんですよ?」
「なるわけないでしょ。むしろ守りたいと思った。守ってあげたい。俺が未来ちゃんを」
先生の声は私の脳を麻痺させる。
そして私を泣かすのも上手い。
ますます感情が高ぶってしまいそうになるのをぐっと堪え、先生の甘い言葉を聞き入れる。
「今まで甘える場所がなくて辛かったね。でもこれからは大丈夫。遠慮なく俺に甘えなよ」
「先生……」
私は嬉しさの反面困り顔を向けた。
嬉しいのに喜ばしいのに、申し訳ない気持ちも込み上げる。
「……でも私、返事。プロポーズの返事もまともにできてないのに…」
「ああ、そのことなら心配しなくていいよ。最初から無理維持はするつもりはなかったからね。俺はいくらでも待つ覚悟だから」



