☆お見舞いに来てください☆


「先生…」と思わず声を漏らすと先生が少し自称気味に目を細めた。


「大人げないって笑ってもいいよ。未来ちゃんのことになると余裕がもてないんだ。頭ではもっと男らしく構えてなきゃと思うのに、気持ちが言うことをきかない。未来ちゃんをもう他の男に取られたくない」


ぎゅっと私の手を握る先生の手に力がこもる。
真剣な瞳に切なさを含む表情は私の気持ちを熱く揺るがせる。
鼓動がドッと早まっていく。


「先生は大人げなくなんてないです。わ、私こそそんなにいい女なんかじゃないですよ?先生にはもったいないです」

「なぜ?未来ちゃんは俺にとって何より素敵な女の子だよ。こんなに好きだと思えた人は初めてなのに」

「でも私は…、両親のことだってっ、けっして恵まれた環境で育ってきたわけじゃないし。先生とは住む世界がちがっ……」


思わず卑屈になって先生の手を振りほどこうとした。
けど、先生がそれを許さなかった。
逃がさないようにきつく握り込まれ、私の動きを封じ込む。


「住む世界ってなに?今こうして同じ空間で同じ空気を吸ってるのは一緒でしょ?
俺達は別々に産まれ、それぞれの場所で育ったんだから違うのは当たり前だよ。誰一人同じ環境なんていない。
俺は過去の未来ちゃんが欲しい訳じゃない。目の前にいる今の未来ちゃんが欲しいんだよ。どんな生い立ちだろうが苦しんだ過去も全部ひっくるめ、未来ちゃんが好きだよ」


これには驚いて胸を打たれたけど、何も言葉に出来ず瞬きをした。


「完璧な人生なんてない。足りないものがあれば補えばいい。泣きたい時は寄り添えばいい。そうして支え合っていくのが人間なんじゃないの?」