私の父は物心ついた頃からあまり家にはいなかった。
口では仕事と言っていたけれど、実際母以外に付き合ってる女性がいたからだ。
それは一度や二度じゃない。何度も繰り返され、私が小学生の頃になると平気で何日も家に帰って来ないことは普通だった。
そんな時母は母で親しい友人がいた。
それが中嶋さんだ。
私にはお世話になっている友人だと仄めかしていたが、それが嘘だということは子供ながらに分かっていた。
彼といる時の母はとても綺麗だったから。
塞ぎがちだった母を笑顔に変えてくれたのは誰でもない中嶋さんだ。
二人が男女の仲として思い合っているのはあの頃の私から見ても明確だった。
「うちの家族はお世辞にも円満とは言えなかったので」
「それはどういう……」
「ごめんなさい。私先生に嘘をついてました。私の父は死んでなんかいません。きっとどこかで生きてます」
頭を下げ、全てをさらけ出す決意ができた。
父と母のこと。
そして中嶋さんのこと。
母が病気で亡くなった時、側にいてくれたのは実の父親じゃなく、中嶋さんだ。
母が病気で倒れ、一人で困った時も中嶋さんが助けてくれた。
父なんかお見舞いなんてほとんど顔を出さなかったのに、中嶋さんは仕事の合間をぬってほぼ毎日のように来てくれた。
母にずっと寄り添ってくれた。
それが事実…



