だけど中嶋さんというと、そんなことはお構い無しに平然とした態度で真実を語る。
「ああ、彼女とは昔からの知り合いなんですよ。少し前に偶然この病院で再会しましてね。それ以来こうして会えば声をかけて雑談なんかしてもらってるんです」
「……知り合いなんですか?」
「ええ、会えると昔を思い出して懐かしくてねぇ。年甲斐もなくつい話しかけたくなってしまって。今もこの後食事でもどうかとお誘いしてたところですよ」
それを聞いた先生の顔色が変わる。
急に空気が重くなり、一瞬だけど眉をしかめて険しい表情をした彼に私の方が驚いた。
「ね、未来ちゃん。どうかな?この近くに美味しいイタリアンのお店があるんだけど良かったら一緒に……」
「すみませんがそのお誘いはまた今度にしてもらえませんか?」
「え……」
中嶋さんの言葉を遮った秀先生に皆の視線が集中する。
だけど先生はそんなのは気にもせず、硬い表情をしながらチラッと私を見た。
「ちょうど彼女に仕事のことで大事な話があったんです。できたらこれからすぐにでもと思いますので、すみませんが食事はまたの機会にしてもらえませんか?」
この発言には中嶋さんも少し驚いたように間を空けた。
が、すぐに理解を得たように納得した顔で頷いた。
「分かりました。仕事ならしょうがないですね。残念ですが食事はまたの機会に」
「その時はぜひ、私もご一緒したいわ」
三島先生が柔らかに口を挟む。
その言葉に「ええ、もちろん。とっておきの店をリサーチしておきますね」と落ち着きのある声で微笑んだ中嶋さんにその場の空気は和らいだ。



