「ご、ご無沙汰してます」
「ん、偶然だね」
「まさかこんなとこで……」
「もしかして結婚したの?」
その質問に「えっ?」となったけど、私と彼が鉢合わせしたのはちょうど病院の前。
今日の勤務を終え、荷物を持って帰るとこだった。
「これはもしやおめでとうって言った方がいいのかな?」
「い、いやいやっ、違います!」
場所が場所だけにそう間違われてもしかたないかもしれないけれど。そんな勘違いはされたくない。
「こ、ここで働いてるんですっ」
「え、ここで?」
ビックリした顔をした中嶋さん。よほど意外だったのだろうか?それともただ驚いただけ?
まじまじと私を直視した後、「へ〜…」と面白いものを見るように顎を指先でなぞりだす。
「それは奇遇だね。僕もこの病院とは繋がりがあるんだよ。ここの院長とも昔からの知り合いでね」
「えっ…」
「いやー本当凄い偶然だ。これも何かの縁かな?」
それを聞いて次に驚いたのは私の方だった。
ということは秀先生のお父さんと知り合いだということだ。
もしかしたら秀先生とも…?
それを知った瞬間穏やかに微笑む中嶋さんをよそに、私はあまりいい顔は出来なかった。
むしろ重い沈黙を向けてしまう。



