その瞬間胸が締め付けられる思いがした。
さっきから感じる違和感が何なのか、やっと理解できた。
別に名前で呼び合うなんて大したことじゃない。
三島先生の体を気遣うのも人として当たり前のこと。
2人は元夫婦で、昔はそれが普通だったはず。
だけど…、胸がずきずきと疼く。
会話の流れで自然と出てしまった呼び名だったとしても、それを目の当たりにした瞬間、信じられないショックが込み上げた。
まるで2人の絆を見せつけられたような。
「秀…」と呼ぶ先生の声に不安を感じた。
「茜…」と呼び合う雰囲気に胸が張り裂けそうになる。
これが嫉妬だということにすぐに気づいたけれど、だから、何?
私にとやかく言う資格はない。
そんな嫉妬深い女になりたくない。
そう思った私は我に返り、何事もなかったように起き上がった。
「…あ、すみません。寝ちゃってたみたいで……」
「大丈夫だよ。おはよ。ゆっくり寝れた?」
先生の笑顔に泣きそうになった。
今はあまり見つめ合いたくはない。
そんな気持ちを隠しつつ、私は二人に笑顔を向ける。
何も聞いていない。見ていない。
今日のことは忘れよう。
「そろそろ帰ろうかって話してたの。いいかしら?」
不自然じゃない態度を向けて頷いた。
私は先生達の後ろに続き、その場を後にした。



