「む、無理です。入りませんっ!」
「……そう、残念」
目を細め彼は笑ったけど、私はたじたじ。だって言うほど残念そうじゃないし、むしろ楽しそうに見える。
先生のバカ。意地悪しすぎだよ。
そう不満そうな顔を向けたけど、内心気持ちは高まるばかり。
でも良かった。思ったよりすんなり諦めてくれたことにホッとする。
それからは何事もなかったようにそれぞれお風呂に入り、まったりモードになる。
明日は私も先生の病院で講習の日だ。
頑張らないと。もっともっと経験を積んで早く一人前になりたい。
今より沢山自分に自信をつけたいと思うのは先生を好きだと気付いてからより強さを増した。
「それじゃあそろそろ寝ますね。明日も早いので」
「うん。じゃあ俺もベッドに入るかな」
リビングを出て二人して階段を上がる。
先生の寝室は左に曲がった奥の突き当たりだ。そして私の部屋はその反対の右側にある場所にある。
私と先生はちょうど中間で立ち止まり、顔を見合わせた。
「じゃあ、おやすみなさい。またあし……」
「未来ちゃん」
途中で手を捕まれてドキリと体がビクついた。次の瞬間、
「おいで」
甘い言葉が放たれる。
グイッと引かれ、私の進行方向はくるっと変えられた。
気付いたら誘われるままに彼の手の平を握っていた。
「寂しいから一緒に寝てくれる?」
「…っ……!」
何も言葉に出来ない変わりに、小さな動作で頷いた。
ふわり、嬉しそうに笑った彼に魅了される。
悔しいけど拒めない。
彼を望んでる。
彼を受け入れたいと思ってしまう。
ベッドの中、「いい子」そう囁かれた私は彼の腕の中に落ちていく。
この日から私の寝る場所は先生のベッドの上だった。



