私でさえ忘れてた自分の誕生日。それを覚えててくれてたなんて、あまりの感動で目頭が熱くなってくる。
先生が選んでくれたピアス。
そしてぬいぐるみ。
今回のホテルだって全て私の為。
どうしてここまでーー
そう思った時、やるせない感情が押し寄せた。
嬉しいのに急に怖気づく。
先生が優しくすればするほど切なさが増し、素直な気持ちを受け入れることが怖くなる。
「…っ、どうしてこんな…」
先生の顔が見れなくなり、俯いた。
彼に優しい瞳を向けられるたび、込み上げてくる感情に戸惑った。
優しくされるのが苦しいだなんて、他の人が聞いたら贅沢だなんて言われるかもしれない。
けど、私はーー
「……未来ちゃん?」
「ごめんなさっ……でも、私は先生にここまでしてもらうほどいい女じゃ、ない、です」
ぽたぽたと箱を持つ手に水滴が落ちる。
こんなにも優しくしてくれる人を私は知らない。だからどうしたらいいのか分からなくなる。
「このピアス、可愛すぎて私にはもったいないです」
しかもこんな素敵な人に思われて。
先生は非の打ち所がないほどできた人だ。
私にはもったいなさすぎる。
彼は凄い人だから。医師としての腕はいいし、患者さんや看護婦からの信頼は厚いし人気だって高い。
まさにアイドルのような人だ。
そんな魅力的な人が、何の取り柄のない平凡な私なんかをどうして相手にするんだろう。



