「ふ〜ん」
と、焼き鳥ではなく隣に置かれたビールに手を伸ばす。
「お前本気なの?」
「じゃなかったら、毎回お前らの食事の誘いに参加したりしないよ」
あの出産から半年、椎名家に度々招待されるホームパーティーに律儀に出席する理由はただ一つ。
未来ちゃんに会えるから。
例えそれが仕事終わりの途中参加でも俺にとってはありがたい心の癒しの空間だ。行かないわけがない。
そんな中学生みたいな理由に陽生は可笑しそうに笑ったが、俺はいたって真剣だ。
彼女との関わりがほしい俺はいつもの優しい仮面をかぶり、彼女の隣へと並ぶ。
ありがたいことにこの4人で集まれば必然的に俺は彼女の相手役になれる。
陽生と果歩ちゃんは夫婦な訳で、何かあれば必然的に俺と未来ちゃんはペアみたいなものだ。
それは食事から始まり、ついこの前は6ヶ月になった愛心ちゃんをつれて動物園に行った時もそうだ。
一緒にどう?と誘われた俺はたまたま休みが取れたことを利用した。
「お前達には本当感謝してるよ」
まじで中坊かよと笑いたくなったが、そういう瞬間、彼女を独り占めできる俺は優越感に浸れる。
彼氏がいようがなかろうが、その一瞬一瞬に見せる表情や仕草は全て俺のもの。
俺だけのものだ。



