危なかった…
めちゃくちゃに彼女を抱き締めたい。
そんな衝動を抑えるよう、俺は咄嗟に彼女から視線を反らし、咳払いをした。
「未来ちゃんこそ頑張ったね。本当お疲れ様。果歩ちゃんもきっと感謝してるよ」
彼女の目は見れなかったけれど、なるべく冷静を装って柔らかに言った。
彼女のきらびやかな視線は眩しすぎる。
「未来ちゃんも疲れたでしょ。今日はもう家に帰って休みなよ。今タクシー呼んであげるから」
「あ、…はい」
「それに本当に大変なのはこれからだからね。できるなら引き続き果歩ちゃんの側でサポートしてあげて?困ったことがあればいつでも相談にのるから」
「ありがとうございます!」
少しでも何でもいいから彼女との繋がりが欲しかった。
このまま "はい、お疲れさん" だなんてあっさりできるわけがない。
実際子育てで大変なのはこれからだ。
沢山泣いて沢山悩むことだろう。
そんな時は俺に頼ってほしい。
友達思いの未来ちゃんが安心できるよう、少しでも力になりたいと思う。
「遠慮せず俺を頼ってね」
「先生……」
そう、ここから…
俺の長い片想いは始まった。



