俺はそんな光景にホッと目を緩めながら、自分のやるべき仕事に取りかかる。
友人の感動的な瞬間に俺も一緒に喜びたいのは山々だったが、またすぐに隣の部屋で新たな分娩が待っている。
ゆっくりしている暇なんてなかった。
俺は視界の片隅で方針状態の未来ちゃんが気がかりだったが、後の処置は看護師に任せ、「おめでとう」とその場を後にした。
そしてどのぐらい経ったのかすでに朝方。仕事が一段落し白衣に着替え廊下を歩いていると、病室の前に設置されたソファーにぽつり、未来ちゃんが一人座っていた。
「未来ちゃん」
俯いたまま動かない姿にん?と顔を傾ける。
もしかして寝てる?
そう思ったが俺の声に反応した彼女がゆっくりと顔を上げるのを見届けて、俺は足早に近づいた。
「みきちゃ……」
「せんせっ……」
彼女は泣いていた。
思わずぎょっとし、そんな姿に驚いた俺は慌てて未来ちゃんの隣にドカッと座る。
「どうしたのっ?」
瞳いっぱいに涙を浮かべた彼女が俺を見て、震える声を絞り出す。
「なんか胸がいっぱいで…」
「え?」
「こんなに感動したのは初めてで、どうしよう…」
さっきから涙が止まらないのだと言い、ポロポロと涙を流す。



