俺が真剣な眼差しを向けると未来ちゃんは瞳を潤ませながら「はい……」と答えた。
「陽生もあとひと踏ん張り。しっかりしろよ。隣でちゃんと手でも握っててやれ」
「ああ、言われなくても」
この緊迫感は慣れることはない。
出産は絶対じゃない。悪く言えば死と隣り合わせの状態だ。
新たな命が誕生する瞬間。それは想像以上に重く、大変なことだ。
だからこそ、医者は冷静な判断が必要なわけで、俺がしっかりしないといけない。
「痛いっ、やだ、もう無理っ…!」
そしてクライマックス。出産の瞬間、元気な赤ちゃんが産声を上げ、1つの命が誕生した。
分娩室に移動して約2時間。
陽生、未来ちゃんに付き添われ、果歩ちゃんの苦痛が最大限に達した頃、分娩室から緊迫した空気が解き放たれ、感動の波に包まれる。
「おめでとう。可愛い女の子だよ。よく頑張ったね」
果歩ちゃんは安堵したように泣いていた。
陽生も目を潤ませていたが、すぐに看護師に誘導され、赤ちゃんの体重と身長を確認しながらビデオカメラでその一瞬を撮っていた。
未来ちゃんは方針状態のまま、気が抜けたように立ち尽くす。



