唖然とする二人に笑いかけた。
とりあえず今は体力を温存しておいた方がいい。
もうすぐ夕御飯の時間になるし、俺は助産師に赤ちゃんの心拍など確認するように指示すると「何かあったらナースコールを押して」と果歩ちゃん達に告げ個室を後にした。
今日はこの後他に3人の分娩が入っている。
忙しくなりそうだなと俺も気合いを入れつつ、その時を世話しなく待った。
ほどなくして果歩ちゃんの陣痛も5分感覚へ。
一時は陣痛が遠退いて不規則になってしまったものの、今は本陣痛が始まり痛みも強いものに変わり、陽生や未来ちゃんが代わる代わる腰をさすっては緊迫した空気になっている。
この頃には果歩ちゃんの顔からは余裕の表情は消えていた。
苦痛に顔を歪ませ「無理…」と激しい痛みと戦っている。
「先生っ、まだ?まだかかるの?赤ちゃん産まれてこないの?」
案の定未来ちゃんは今にも泣きそうだ。
陽生の方はある程度覚悟はしているらしく、心配そうな顔をしているものの、案外どしりと構えている。
「どうかな?まだ子宮口も全開じゃないからね。陣痛の感覚が2、3分になったらまたナースコール押して?子宮の開きも見て分娩室に移動しよう」
「先生っ…」
「大丈夫、死にはしないよ。俺が付いてるからね。二人の命はちゃんと責任もって守るから」



