果歩ちゃんは初産なわけで、陣痛が始まればたぶんそう簡単にはいかない。きっと長丁場になるだろう。
病院でも出産に向けてのしおりは渡してあるけれど、未来ちゃんのこの様子だとあわあわと慌てるふためく姿が予想できてしまう。
ーーそれから1週間後、ついにその時がやってきた。
ある程度陣痛の感覚が短くなり、病院に訪れた彼女達は看護婦に案内されて病室へ。
診察の合間を縫い、俺が顔を出すと二人は心底安心した顔を向けた。
「あ、先生!」
「どう?陣痛けっこう強くなってきた?」
担当の助産師に聞けば陣痛の感覚は10分ほどになってきたものの、まだまだ子宮口の開きは3センチほど。先は遠い。
果歩ちゃんの表情からもちらほら笑顔が見れるほどで、陽生も今自分の病院からこっちに向かってるという。
それを確認しつつ、俺も再び一般の診療に戻ることにした。
「えっ、先生行っちゃうの?」
未来ちゃんが焦ったように俺を見る。
そして果歩ちゃんも…
「私はどうしたら……」
「大丈夫。普通に話せるぐらいなら俺の出番はまだ先だからね。とりあえずリラックスして仮眠でもしててよ。なんならシャワーでも浴びてくる?体も温まるし、お産もスムーズに進むかもよ」



