「何かあったの?」
無神経と思われようが彼女のお願いに応えることは出来なかった。
俺は未来ちゃんの横顔を見つめ、最初に聞いたことをもう一度尋ね、ゆるやかに諭す。
この様子からしてただ事じゃないことは分かる。だからこそ、このままひとりになんてさせることが出来なかった。
「ごめんね、泣いてる友達をほっとけない場合はどうしたらいいのかな?」
俺はなるべく優しく言った。
彼女が俺に心を開いてくれるかは分からないが、少しでも力になれたらいい。
そんな気持ちだった。
「俺で良かったら話ぐらい聞くよ?」
俯いたままの未来ちゃんは黙りのまま、サラサラと横髪が流れているせいでその表情がはっきりとは分からない。そんな彼女の頭を無意識に撫でたいと思った。
が、寸前のところで理性がそれを止めた。
「…わ、たし……」
その時ずずっと鼻をすすった彼女が少しだけ顔を上げた。
「ごめんな、さい。泣くつもりはなかっ……。でも我慢できなくて……」
そこからまたポタポタとカウンターに水滴が落ちる。
そんな光景に俺はどうしてか胸がキュッと縮まる思いがした。
けどそれと同時に保護欲というものが芽生え始め、彼女の側にいてあげたいと。



