やんわり笑った彼女がカウンターに置かれたカクテルに手を伸ばす。
やっぱり覇気がない。
その横顔もどことなくいつもの笑顔と違う。
たぶん俺の気のせいなんかじゃない。
何かを堪えてるような風貌に俺は「良かったら一緒に飲もう」と口にする。
「いつから飲んでるの?」
「えっと、1時間ぐらい前からです」
「ずっと一人で?」
「……はい。たまたま目に付いたから入ってみたんですけど、当たりでした。すごく雰囲気のいいお店で…」
「だよね。俺もけっこう気に入ってるんだ。今度彼でも誘ってみたら?」
「………あ、です、ね……」
そこまで言って未来ちゃんは言葉を止める。
そしてまた無言になり、何故かスッと俯いた。
「……未来ちゃん?」
「ごめんな…さい。やっぱり一人で飲みたいです」
「え?」
「今はちょっと…、わたし……」
そこで気が付いた。彼女が俯いたカウンターの上にポタポタと涙が落ちていることに。
肩は小刻みに震え、小さく鼻をすする音が聞こえてくる。



