「未来ちゃん」
確認するようもう一度名前を呼ぶと、ビクッと反応した顔がこちらに向いた。
少し警戒した瞳が俺を見る。
「……先生?」
お互い視線が合わさった時、言葉にならない驚きが重なった。だけれど俺はすぐにそれを笑顔に変え、彼女の隣にイスに腰を下ろした。
「こんな所で会うなんて偶然だね。今一人?」
「……あ、はい」
彼女は戸惑った様子を見せたものの、俺と同様すぐに表情を落ち着かせ前を向いた。
だけどどことなく覇気がない。
いつもの穏和な雰囲気がどこか寂しそうに感じる。
「どうしたの?何かあった?」
気づいたらそんな言葉をかけていた。
ちょうどその時バーテンが俺に声をかけ「お久しぶりですね」と営業スマイルをくれる。
そこで会話は中断され、とりあえずお決まりのお酒を注文すると俺は再び未来ちゃんに向き直った。
「先生よく来るんですか?」
「一応常連だからね」
「そうなんですね。私は初めてです」
「そうなの?それは偶然だね」
「なんか急に飲みたくなっちゃって…」



