それを肝に命じた俺はそれからというもの彼女と一定の距離を置いて付き合うよう心がけた。
彼女は友人の友達。
それに相応しい距離感で接するのは当たり前のことだ。
この日、夕方から恋人と会う約束をしていた未来ちゃんを速やかに帰し、俺も早々と帰路に着く。
やけにぽっかりとした気持ちを抱えながら、「今日はありがとうございました」という未来ちゃんのメールを当たり障りなく返信した。
必要以上に俺からは連絡しない。
彼女が俺をは必要とする時にだけ対応すればいい。
それが一番いいことだと納得させ、俺はそれ以上深く考えるのをやめた。
それからは特に何もなくいつも通りの生活。仕事に終われる日々を過ごし、時々かかってくる未来ちゃんの相談にのるということをしながら時間はあっという間に過ぎていく。
普通の日々は穏やかだった。
だけど平凡な毎日が続く中、偶然という奇跡は恐ろしい。
仕事帰り、行きつけのバーに久しぶりに足を向けた時、店内に見知った姿を見つけ俺は思わず二度見した。
「……未来ちゃん?」
間違いなく、それは彼女だった。
見間違えるはずがない。背中まで伸びたストレートな髪にきゅっと引き締まったフェイスライン。
俺はそれを確信し、彼女の座るカウンターまで歩み寄る。



