のはずなのに…
「そうなんだ…」と呟く彼女がしとやかに俯き耳の後ろに髪をかけた。
その姿は可憐で女性の色気を感じ目を奪われる。
胸がざわざわとした。
なんだこれ…
自分でも予想外な感情が渦を巻き、俺は思わず動きを止める。食べかけのピザを皿の上に置いた。
「………」
「………先生?」
そこで携帯が鳴った。
俺はハッとし、慌てて自分の携帯を手に取った。
けどそれは違った。
音の主は未来ちゃんの方だった。
「あ、すみません」
「いや、どうぞ」
俺はまた彼女から視線を反らした。
戸惑う自分の気持ちを押さえようともう一度飲み物に手を伸ばしたが。
「あ、涼ちゃん?うん、今お昼…」
"涼ちゃん"という単語に過剰反応をした。
たぶん恋人だろう。思わず彼女を盗み見れば頬を緩ませ、嬉しそうに目も細めている。
その姿はまるで恋する表情そのもので、それを見た瞬間これ以上踏み込んじゃいけない。そんな気がして見えないバリアを張った。
「もしかして今話してた彼から?」
電話を終えた彼女にさりげない笑顔を向ける。
「あ、はい」
「ごめんね。恋人がいたなら今日付き合わせるのはよくなかったよね」
「いえっ、ぜんぜん!大丈夫です。先生は友達なので」
うん、そうだ。
俺は余計なことを考えず軽い相づちを打つ。
そう、彼女は友達。それ以上もそれ以下でもない。



