俺が否定を込めた挨拶をすると、内心つまらなそうな顔をした坂口だったけれど、すぐに表情を正し奥の席まで案内してくれた。
「どうぞごゆっくり」
料理を注文し、坂口と少し他愛ない話をすると俺は店内を見回した。
ウッディな質感の空間とシャンデリアに自然と目を惹かれ。ロフト形式の2階席には照明設備とちょっとしたステージまであった。
誕生日やブライダルなどの貸し切りパーティーにも対応できる内装だ。
「感じのいい店ですね」
「本当だね。結婚式の二次会でも使えそうな場所だ」
「それ私も思いました。今度結婚する大学の友達がいるので早速教えてあげようかなぁ」
出されたお水を飲みながら未来ちゃんがにこやかに笑う。
20才で結婚なんて早いね。なんてさりげない話で話題を繋げ、俺は向かいに座る未来ちゃんを興味深く見た。
「未来ちゃんもやっぱり結婚には憧れるの?」
「いえ、私は……」
少し躊躇いを見せた彼女が言葉を濁す。
だけど、うーん…と考える仕草を見せる限り多少なりとも希望はあるのかもしれない。
「今はまだそこまで考えてませんけど、でもいつかは…」
「女性の一代イベントだもんね。そりゃあ妄想は膨らむよね」
「そうですね。やっぱり憧れはないって言ってたら嘘になります」



