楽しい一時が終わり、椎名家を出ると俺は未来ちゃんを助手席に乗せていた。
俺の車に乗り、どことなくそわそわして見える彼女が新鮮だ。先程から窓の外を眺めている彼女をつい、こちらに向かせたくなった。
「未来ちゃんのアパートはこっち方面でいいのかな?」
「あ、はい。大丈夫です」
さっきも聞いたばかりだけど、もう一度確認するように尋ねた。
すると彼女の顔が予想通りこちらに向き、ゆるやかな可愛らしい瞳が俺を見た。
「わざわざ送ってもらっちゃってすみません。先生には何から何までお世話になっちゃって…」
はにかむ表情を見て自然と俺の顔は緩み、「気にしなくていいよ」と言葉を返す。
むしろもっとお世話をしても悪い気はしないと思ってるぐらいだ。そんな感情が沸いてくるのを多少なりとも戸惑ったりもするが。
「あ、そうだ!良かったらお礼をさせてください。うん、ぜひ!」
彼女が思い立ったように突然パチンと両手を合わせた。
「何がいいかな〜。先生から何か要望はあります?」
「じゃあ今度ご飯でも付き合ってよ」
さらりとそんな言葉が出た。
不意に沈黙がおとずれたけど、俺は平常心を武器にしてそのまま彼女にさりげない言葉を向ける。



