☆お見舞いに来てください☆


「…みき……」


最後に弱々しく呼ばれ、振り返った瞬間すっかり正気を失った雅也が目に入ったけど、私は何も言えなかった。

心はヒリヒリ、人知れず痛みを覚えたけれど、

先生に手を引かれるままに自分のアパートを後にした。



「ごめん」


階段を降り、車の前まで行くと先生が荷物を置いて私の顔を覗き込んだ。


「泣かせるつもりはなかったんだけど…」


知らぬまに私は泣いていた。

一生懸命堪えてたけど無理だった。

これは雅也との別れが悲しくて出ている涙なのか、それとも先生の私への熱い気持ちに絆されてしまったせいなのか、自分でも理解できず思わず逃げるように先生から視線を反らす。


「ごめ…、分かってる。分かってるんだけど…」


少し躊躇い勝ちに、だけど止めることなく。
先生は私の背中に手を回してきた。
そして何かを耐える苦しそうな声で、



「でも、離してやれない」


私を腕の中に閉じ込めた。
逃げられぬようぎゅっと両腕で抱き締める。