長い沈黙のあと、雅也の口が動く。
「……あんたは…」
「夜分遅くにすみません。彼女の荷物を取りに来たのでそのボディーガードです」
先生はいたってスマートに、むしろ堂々とした立ち振舞いだ。
そんな様子を上から下までまじまじと眺め、雅也の表情がより厳しいものに変わっていく。
「未来、これはどういう……」
「あ、うん、雅也とはいくら話しても解決つかないし…」
「だからもう新しい男?」
「ちがっ、秀先生はそんなんじゃなくて……」
そう言った時、あからさまに雅也の顔色が変わったのを見逃さなかった。
自分より頭半分ほど大きい先生を見上げて何かを悟ったように目を見開く。
「先生って、まさかあんたが…」
「ち、違うのっ、これは……」
「未来ちゃん、とりあえず荷物まとめてこようか。時間ももう遅いし手短にいこう」
トンっと優しく背中を押され、私は半開きのままだった扉を全開に開けた。
そして目の前にいる雅也を押し退けて靴を脱ぎ、住み慣れたリビングに戸惑いながら入っていく。
チラチラと後ろが気になった。
雅也はそんなやり取りを見て怪訝そうに眉を寄せていたけれど、すぐに先生の方へと真っ直ぐ向かい合う。



