205号室、それが私の借りている部屋だ。
築10年ほどになるアパートは古すぎず、新しくもなくセキュリティはあまりしっかりしてないものの、一般的に見ると家賃も踏まえ20代の独身女性がすむのにちょうどいい物件だ。
自分の家なのに、どうしてか後ろめたい。
どうか誰も居ませんように…と、玄関の前に立つと、私の願いは空しく中から人のいる気配がした。
ふと見れば電気メーターも回っている。
人生そう都合よく物事は動かないらしい。
「とりあえず未来ちゃんは自分の荷物をとっておいで」
とりあえずってなんだ?
そう思った瞬間彼の手によってあっという間にインターホンが押されてしまう。
……先生は本気だ。
それがひしひしと伝わってくるから、私も駄目だと思うのに、何も言うことができない。
そしてインターホン越しに私の顔を写し出した瞬間「…未来?」と声が聞こえ、ガシャンと何かがぶつかる音が聞こえ、勢いよく玄関の扉が開けられた。
「未来!」
まるでご主人様を待ち構えてた愛犬のように嬉しそうにパァとした顔を見せた雅也だったけれど、
「こんばんは」
私より先に一歩前に出た秀先生の登場により、彼は一瞬で顔を強張らせた。



