腕時計を確認すれば時刻は夜の9時を過ぎたところだった。
普通に雅也が仕事から帰ってる時間帯なわけで、同僚や友達と飲んでなければ確実にアパートにいると思われる。
これってやっぱりそういう意味?
鉢合わせしちゃうよね?
もしかして、先生はそれを狙っているの?
「未来ちゃん」
「……はい!」
急に呼ばれて不自然な声を上げてしまった。
何を言われるんだろう。
あからさまに強張った顔を向けてしまった私に、先生はまったく予想外なことを聞いてきた。
「未来ちゃんってさ、何で果步ちゃんのことまだ旧姓の名字で呼んでるの?」
「へっ?」
「いや、実はずっと気になってたんだよねぇ、あの二人が結婚してかれこれもう4年だし、ふと何か理由でもあるのかなって?」
そう言われ、えっと顔を上げる。
「へ、変ですかね?」
そう言えば…と、私もハッと気づく。
確かに何でだろう…。と思ったけど特に深い意味はない。
彼女とは学生時代からの付き合いで、ずっとそう呼んできたこともあり、妙にそれが定着してしまったから。



