「あのっ…」
「安心して、悪いようにはしないから」
よっぽど泣きそうな顔をしてたのだろうか?
先生が靴を履きごねる私を宥めるように頭をよしよしと撫でる。
「大丈夫。未来ちゃんはそのまま、いつも通りでいいからね」
「ふっ…、秀、検討を祈る。根気よくな」
「ああ、二人ともありがとう」
よいしょっと私の荷物を担ぎ上げた先生がもう一度三月さん達の方へ振り返るから、自動的に私もそちらの方向に。
「後藤、スマイルスマイル、頑張って」
「あのっ、三月さ……また、遊びに来てもいい?」
「もちろん」
それに安心したのか、最後に「お世話になりました…」と、律儀に挨拶をしちゃった自分が分からない。
寂しいのに、不安なのに…
これ以上は私が何も言っても駄目な空気だけは分かるから、まだ弱っちい覚悟の中、唇をぐっと引き締める。
「ほら、そんなにガチガチにならなくても…」
マンションを降り、車に乗り込むと先生が苦笑いを浮かべながら私を見た。
私の荷物を置くなり本当にこれだけでいいの?と聞かれたけど、実際今持ち合わせている自分の私物はボストンバッグ1つの量だ。
最低限の持ち物しかない。



