「未来ちゃんを俺にください」
その時、誰一人として言葉を発せようとしなかったのは秀先生の表情がすごく真剣だったから。
いやできなかったんだ。
それぐらい今日の先生はかしこまり、全てにおいて誠実な態度だった。
少しの間異様な沈黙に包まれていたけれど、それを壊したのは同じく、いつもにまして真面目な表情を向けた三月さん。
「本気、ですか?」
「もちろん。今日は俺のすべての覚悟をもって挨拶にきました」
「へ〜…覚悟。それは頼もしいですね」
何故か彼女は笑わない。
むしろ挑戦的に彼を見て、少しトゲのある言葉を選んでるように見える。
「先生の意気込みは分かりました。……でも、彼女は今迷ってますよ。すごく混乱してます。そんな中強引に連れて行くんですか?」
ヒヤリとした言い方に私までもドキリとする。
でも…、待って。
三月さんはどちらかというと、秀先生のことを応援してなかった?
ちゃんと考えなさいって言ってくれてたのは三月さんの方なのに、今は態度が違う。
昨日までの発言を思い出しながら、急に態度を変えた彼女にまで視線が釘付けになる。



