「えっ、……何?」
「ほら、それはデリケートな話だからさ、今はまだそっとしておいたほうが…」
「いや、でも、もう一週間だろ?合鍵持ったまま、未来ちゃんのアパートに居座ってるって」
二人の会話でオロオロしていると、
その時、秀先生のとても静かで感情のこもらない声が耳に届く。
「…へー…、そうなんだ……」
その声に思わず肩がすくむ。
ただの相づちのような、「ふーん」とした口調だったけれど、それがやたらトゲっとしたものに聞こえたのは私の気のせいなんだろうか?
「彼氏とまだ別れてなかったんだ」
「……何?秀お前知らなかったの?」
そう、秀先生は何も知らない。
知られたくないからこそ、この話はタブーだった。
もう彼に変な心配をかけたくないから、あえて何も言わないほうがいいと思ったのだ。
だけど、やっぱり私の考えは甘かった。
そんな私達を交互に見て椎名先生は珍しいなって、一瞬意外そうな顔をしたけれど、特にそれ以上追及することはしなかった。



