椎名先生は私と秀先生のことを知らない。
私があえて言わないでほしいと三月さんにお願いをしたからだ。
元彼の雅也のことで悩んでることしか知らないわけで、だから彼が悪いわけじゃない。
こうなることを予想できなかった私の詰めが甘いのだ。
時々ふとした瞬間隣から視線を感じた。
けれど私は必死でそれに気付かないふりをして、極力彼の方を見ないようにした。
そしてメインは先生達の仕事の話し。
それから三月さん達の子供の話しになって、いつものように他愛ない会話をしながら少しだけ今の状況に落ち着きが戻ってきた時だった。
「そうそう、それでどう?未来ちゃんの方は元彼とちゃんと話はできてるの?」
椎名先生が話を変え、突然爆弾発言を落としてきた。
ハッとした私はあからさまに狼狽える。
三月さんはギョッと瞳を大きくし、秀先生はサラダに伸ばしかけた手をピタリと止めた。
「……えっ、と……」
正直今その話題はタブーだよ。
先生に悪気はなく、むしろ心配しての発言だとは分かってるけど、この状況はひじょーにまずい。
特に秀先生の前では絶対に。
「まだ別れ話をごねられてるの?」
「ちょっと、陽生っ」
すかさず三月さんがストップをかける。



