「あ、陽生が帰ってきたかも」
「今日はいつもより遅いんだね」
「ああ、そう言えば」
なんて会話をしていると「ただいまー」と玄関から爽やかな声が聞こえてきた。
そして扉からひょっこり顔を出したのは想像通り、にこやかな椎名先生。
「お、今日もやってるな。いつもの女子会」
「陽生お帰りなさい」
「先生お帰りなさい」
と、声がハモる。
「今日は少し遅かったんだね」
「ああ帰りにさ、急に秀から連絡があって。少し話したいことがあるからって、実は…」
「こんばんは」
そこへ突然予期せぬ人物が先生の後ろから顔を出した。
清潔にセットされた黒髪のショートヘアーが視界に入った時、思わず動きを止める。
上品でカチッとしたメタルフレームの眼鏡姿の人物が目の前に現れるとこれでもかってぐらい大きく目を見開いた。
「やあ、皆様お揃いで」
「…秀、せんせ……」
まさかの登場に、ピキンと体を硬直させた。
それはまさしく私が今一番恐れている相手なわけで、
私は岩石のように全身が固まり、視線だけがかろうじて動く状態になる。



