頷いた私は先生に手を引かれタクシーに乗り込んだ。
手はしっかり握られたまま、私達は寄り添うように腰を下ろす。
『大丈夫?気分悪くない?』
先生が気遣うように顔を覗き込んで心配そうに見つめる。
その日の彼はいつも以上になんだか距離が近いような気がした。
視線が交じり合うと、先生の眼差しが嫌になるほど優しくて、つい、すがりたい衝動が込み上げた。
ダメなのに。
コントロールができなくなる。
『何かしてほしいこととかある?』
その言葉は今の私には甘い蜜のような響きだった。
まるで蜜蜂が花の中にある蜜に吸い寄せられるような。
私は何かを訴えるように先生の瞳を真っ直ぐ見つめた。
『何でも言ってごらん』
『……っ……』
この時の私は感情が壊れ、理性を失いかけていたのだと思う。
ただ、甘えたい。甘えさせてほしい。
それだけが脳内を支配して、
『……寂しい、です』
離れたくなくて。
助けを求めるように口を開いた。
『寂しいの』
握られた手をほどき、そのまま先生の体に抱きついた。



