☆お見舞いに来てください☆


あ、何だかいい匂いがする。

リビングに入るとすぐ、甘く食欲を掻き立てる香りがした。



「いい匂い……」
「ああ、今ね、パンケーキ焼いたところなの」


三月さんはそう言ってキッチンに向かう。


「後藤も食べる?」なんて聞いてくれて。

ダイニングテーブルには5才になる長女の愛心(あこ)ちゃんがお行儀よく座っててニコリ、手を振ってくれた。


「あ、みーちゃんだぁ」


右と左にえくぼをつくった愛心ちゃんが可愛らしい笑顔をくれる。

それにまたほっこりした私は涙腺がゆるゆるになっちゃって、同じように手を振って鼻をズルっと啜る。


「どうしたの?泣いてるの?」


愛心ちゃんの隣に座ると、キョトンと顔を覗き込まれた。

まるでお人形のようなくっきりとした大きな瞳でじっと見つめて、思わず愛想笑いを浮かべた。



「……また振られちゃったの?」

「……あ、ん、まぁ」


彼女も私のことはよく分かっている。

5才にして鋭い観察力。


ダメだなぁ…

こんな幼い子にまで心配されちゃうなんて。

そう思うのに、恥ずかしながらこんな状況は一度や二度じゃないわけで。

案の定愛心ちゃんも幼いながらに色々と何かを察し、気をつかってるようだ。