「どうしよう…」


整った寝顔に詫びるようにポロリと言った。

さらさらの前髪から覗かせる目元は柔らかく、羨ましいほどの高い鼻筋。

見れば見るほど綺麗なお顔。


彼は私の良き友人だった。

そして兄のような存在でもあり、現在は職場の上司。

というより雇用主。

皆川秀(みながわ しゅう)先生。

彼は何を隠そう産婦人科のお医者様なのだけど、
私の大親友の旦那さんのお友達でもある。

出会って5年。

仲良くなってすでに4年になるのだけど。

あろうことかこの度、男女の関係になってしまいました。



「……ん、未来ちゃ、お…はよ……」



一番恐れていた事態に頭がクラクラする。

それはきっと飲みすぎたせいだけではない。

どうしよう、顔がまともに見られない。

彼の少しかすれた声を聞いた瞬間ビクッと体が強張り、垂れ下がっていたシーツを胸まで上げた。