「璃子さん、璃子さん」


水嶋は何度も彼女の名前を呼んだ。

嬉しさと比例して彼女を抱き締める力が強くなるのは当然、欲情という名の男の欲望。


「やっと僕のものに……、もう離しませんよ」

「…んっ……」


熱いキスを繰り返す。

そして名残惜しく唇をいったん離した水嶋はふっと目を細め、そのまま璃子を横抱きに抱き上げた。

その瞬間「きゃっ…」と璃子の声が届いたが、それさえも可愛い。水嶋は構うことなく彼女を奥の部屋へと連れていく。

目的の場所はやはりベッドルーム…


「み、水嶋さっ……」

「今日はこのまま泊まっていってくだい。いや……、もう帰せません」


甘い言葉を吐き、彼女をいたわるようベッドへ座らせた。


「今は離れたくない。このままあなたを愛させてください」
「ーーっ……」


そんな切羽詰まった眼差しで言われたら嫌だなんて言えない。

顔から火がでるほど恥ずかしいのに、それを拒むという選択技は璃子にもなかった。

その手に触れたい。触れてほしい。

ずっと我慢してたのは璃子とて同じ。


「…わ、たし……」

「大丈夫です。大事にします」


まるで壊れ物に触れるよう額にキスされる。

そのままゆっくりベッドに倒されれば、この後に起こりうる甘い一時を思い浮かべ、嫌でも想像してしまう。