「そうですね、と言いたいところですが半分は違います」
ようやく顔を上げた璃子に水嶋が優しく微笑む。
「正直お見合い相手が仁科さんだってことは僕も最近まで知らなかったので。でも、あなたのお母さんのことは知ってましたよ。以前から顔見知り程度の関係だったので」
そして水嶋は言った。
仕事が休みの休日は大抵呼び出され料理教室の下準備を手伝わされていたのだとか。
食材の調達から重い荷物運びは強制的に水嶋の役割に。
その時に出会ったのがうちの母なわけで。母親同士が仲良かったのもあり、顔を合わせてるうちに顔見知りになり、次第によく話す間柄へ。
そこで水嶋を気に入った璃子の母が悪魔のような計画を…
うちの娘と一度会ってみない?と言い出したのが今回の事の全ての始まりらしい。
「僕も初めは断っていたんです。ちゃんと好きな人がいるからと」
けれど母達の押しの強さに負け、最終的に璃子の写真まで見せられた水嶋は驚愕したという。
「その時の衝撃は今でも忘れませんよ」
水嶋が思い出すかのようにクスリと笑う。
「まさかお見合い相手が自分が今想いを寄せてる人だとは夢にも思わなかったので」
そりゃそうだよね。
璃子だってそうだ。
腰が抜けそうほどの強烈な瞬間だった。



