ま、まさか…
「もしかして、私達の会話なんて聞こえたりしてませんよね?」
水嶋の表情が困り顔に変わる。それはまさにその通りという肯定するものであり、璃子は信じられない気持ちで改めて水嶋を凝視した。
「すみません。聞くつもりはなかったんですけど…」
聞こえてしまったと水嶋は言った。
たまたま斜め後ろの席にいたのだと…。
それを聞いた璃子は当然ショックを受ける。
いや、ショックというよりこれはもうそういうレベルじゃない。
顔から火花でも飛び散りそうだ。
「お、お恥ずかしいてす!」
璃子は恥ずかしさのあまり顔を両手で覆った。
あの時璃子は気を許す友人の前でかなりの本音トークを落としていた。
水嶋が好きだと。
好きで好きで諦めきれないと。
家族への確執、矛盾する自分の気持ちを見事にぶちまけていた。
それを水嶋本人に聞かれてしまったのだから、当然恥ずかしさでどうにかなってしまいそうだ。



