「じゃ、出ましょうか」
硬直したままの璃子に水嶋はやんわりと微笑み、母親達の好機な目もよそにレストランの外に璃子を連れ出していく。
突然手を繋がれたことにも驚きだが、何より目の前に水嶋がいることの方がもっと衝撃だ。璃子は何も出来ずにただ開いた口が塞がらない。
気づけばロビーを出ており、何故かエレベーターに乗せられた。
何処に行くのだろう…
無言のままエレベーターのドアを見つめる水嶋。
さすがに不安になった璃子は、ようやくここで小さくか細い声を上げる。
「あ、あの……」
「少し静かな場所でゆっくり話しましょうか?」
そう言われてしまっては璃子も口ごもる。否定することなんてできない。
すでにエレベーターは動き出しちゃってるし、このまま何も聞かず帰る勇気もない。
「さぁ、こっちです」
そうエスコートされながら向かった先は30階の客室の前だった。
水嶋はスーツのポケットからカードキーを取り出すと、躊躇うことなくドアの鍵をピッと開ける。



