☆お見舞いに来てください☆


いっそ幻滅してくれれば楽なのにと璃子は心の中で思った。

そんな重い気持ちのまま、少しの間当たり障りなく会話が進められたのだったけれど、


「本当にごめんなさいねぇ、けっこうな時間待ち惚けさせちゃって。そろそろ来るとは思うんだけど…」


どうせならこのまま来なくていいですよ。

来なきゃいいのにと、璃子は再び心の中で悪態をついたが、現実はそんなに甘くない。

開始から40分ほど経った頃、向かいの華さんの携帯にメールが入り、レストランの入口にスーツを着たそれらしい人が現れた。


「あ、あれよ。ようやく来てくれたわ」


げ、来ちゃったのか…

来なくても良かったのに。どうせ会ったところで何も進まない。
私は水嶋さんが好きで、それ以外の人は考えられないんだから。
そう思いながらあえてそっちの方には向かず、再びシャンパンに手を伸ばそうとした時だった。


「あ、大翔(ひろと)こっちよ」

「すみません、遅くなりました」



……ん?ひろと?

一瞬聞いたことのある名を耳にして、璃子はふと首を傾ける。

大翔、大翔って…


「仁科璃子さんですね。大変遅くなってすみません。水嶋大翔(みずしまひろと)と言います。今日はお会いできてとても光栄です」