天然タラシな加賀にはときどきイラッとするけど、でもやっぱり憎めないっていうか……逆にもっと好きになる。
「…頑張ってよ」
「んー?なんか言った?」
ぼそりとつぶやいたあたしの声はどうやら加賀の耳には届かなかったみたい。
せっかく人が応援してあげてるっていうのに。
「もう!頑張れって言ったの!」
「え?」
すこし怒鳴るようにして言ったのはただの照れ隠しで。
ていうかえ?ってなに?
頑張れに対してえ?って返す?ふつう。
でも、口をあけてポカンとしている加賀を見ているとなんだかおかしくて、思わず吹き出した。
「ねぇ、加賀。頑張れ」
もう一度、ちゃんと加賀の目を見て伝える。

