「加賀はどーなの?」
「ん?なにが?」
「甲子園、行けそう?」
夏の地方大会まで、あと少し。加賀は負けたとしてもまだ続きはあるけど、先輩たちは負けたら終わり。最後の大会だ。
全国屈指の強豪校があつまるこの地域はなかなかの激選区で。
でも、甲子園の切符を手に入れることができるのは他と変わらない1校のみ。
「まー…いつも通りだろうな。負けるつもりはさらさらないけど」
「ふぅん。加賀も投げるんでしょ?」
つねに自信をもっている加賀は当たり前だ、とか言うと思ったのに、今日は違かった。
「そればっかりは分かんねーよ。監督が決めることだし」
渋い顔をした加賀はなんだか苦しそう。
…春季大会のときも同じ質問をしたらドヤ顔されたのに、どうしたんだろう。