「え、あの……」
いま、いま、いま、…言ったよね?
加賀、良かったって、言ったよね…?
「…それって、期待…してもいい、の?」
「…期待してくれないと困る」
あり得ないはずのその言葉に、だらしなく口を開けたまま数秒間停止してしまった。
「…じゃ、じゃあ、野球が恋人っていうお決まりのセリフは?」
震える声で、頑張って聞いた。
加賀が告られて振るときの、お決まりのあのセリフ。
『俺の恋人は野球だから』
人気のある加賀のことだから、そんなものは簡単にみんなに知れ渡る。加賀の知ってる人にも、知らない人にも。
もちろん、あたしにも伝わってきた。
だから望みはないんだって。加賀の彼女にはなれないんだって…
長い間、そう、信じ込んでた。

