“ヤダ”か……でも、あきらめないもん。
「…あたし、ずっと加賀のこと見てきた。加賀と知り合ってから、ずっと。なんでもってわけじゃないけど、加賀のことほとんど分かるよ。…それでも、あたしになにも話してくれないの…?」
「それ、は…」
「…お願い。あたしに話して」
数秒間、ときが止まったかのようだった。
どちらも動かず、口も開かず。
でも、最終的にその沈黙を破ったのは、
「はぁ……分かったよ」
あたしのしつこさに観念したようにため息をついた、加賀だった。
瞬間、肩の力が抜けた。けどちゃんと壁ドンは継続中。
だってここで加賀に逃げられたら困るもん。

