加賀も、おちゃらけてくれるかな、なんて冷や汗を流しながら考えていた。
けど。
「…俺、ダメかも」
加賀のかすれた声は、しっかりとあたしの耳に届いた。
「…ダメかもしんない」
「…なにか、あったの?」
加賀が“ダメ”だなんて言うなんて、なにかあったに違いない。
高1のときに仲良くなって、話すようになって。あたしが知る限りは、加賀が弱音を吐くことは怪我をしたときでさえなかったもん。
…弱音を吐く相手が、あたしじゃなかっただけなのかもしれないけど。…それはそれでショックだな。
「加賀、ねぇ……、なにかあったの?」
うんともすんとも言わない加賀の目の前に立って、加賀を見つめて、また、そう言った。

