今日もボールを追いかける。




ペシッと軽く頭をはたかれた。



すこし。…すこしだけ、気まずい。


気まずいけど、こんな状況でも加賀に触れられた部分は熱をもって。どんどん、どんどん熱くなる。


…これじゃまるで、あたしが変態みたいじゃないか。違う。これはいたって普通の反応だ。



「…ぜんぶ、は聞いてないよな」



静かな空間に、ポツリ、言葉が落とされた。



「…ちょっと、ちょっと…ね!あたしはもともと盗み聞きなんてそんな悪趣味してないんだから…!」



盗み聞きしちゃったことがバレていて、目を泳がせながら。でも、なんともないと装うためにわざと声のトーンを高くした。


いつものあたしたちに似合わない、しんみりとした雰囲気から脱するために。