今日もボールを追いかける。




スカートをひるがえして教室に向かって足を数歩進めたとき。



「ーー…このままだと、難しい」


「……はい」



グラウンドへと続く通用口のすぐ近くのちいさなスペースから微かに話し声が聞こえた。


ずっしりとした重みをもった渋い声と、元気のない若い声。



…なんか、雰囲気的に通りにくい。


だけど、教室に戻るにはそこを通らないといけないんだよね。


ほかにも道はあるけど、わざわざ遠回りをするなんて、そんなことはしたくないから。


でも、この感じは……、なぁ…



「…はっきり言うと、今のお前に背番号を渡すことはできない」



行くか行かないか悩んでその場にたたずんでいると、さっきの渋い声がまた廊下に響いた。