それでも僕らは

放課後

私は、演劇部の部室の窓から、グラウンドで練習をしている陸上部を見ていた。
(やっぱり、格好良いな・・・。)

大「確かに、格好良いよね。永原君。」

私「!」

大「遠野さん、永原君のこと好き
でしょ?」

私「ど、どうして?何を根拠に
そんなこと?変なこと言わないでよ。
ビックリするじゃない!」
(何で気付いてるの?あの兄妹には、何も
気付かれてないのに。)

大「転校してきてから、今まで見ていて
そう思ったんだよね。今日は、朝、
あの話を聞いてから、うわの空で
いつもと様子が違ったし・・・。」

私「そ、そうかな。気のせいじゃない。」
(ダメだ・・・完全に見抜かれてる。)

今朝、あの話を知ってから、私は気が気ではないのだ。

大「遠野さんは、好きな人と恋人同士に
なりたい、って思ったりしたこと
ないの?」

山上君は、グラウンドで練習をしている陸上部の様子を、何とも言えない表情で見つめながら、私に言った。

私「・・・それはあるけど・・・。」

そう、確かに、友と恋人同士になりたい。

でも、それは簡単なことではないのを、私はよくわかっている。

友は、中学生の頃に1つ年上の先輩と1年半程交際をしていた。

しかし、先輩が高校進学で地元を離れるのをきっかけに別れてしまった。

友は、その人のことがすごく好きだったから、別れた後も忘れられないでいる。

私は、そんな友の様子をずっと見てきたからよくわかるのだ。

例え、友に告白をしたとしても上手くはいかないことを・・・。

大「このままで良いの?」

私「・・・。」

結局、この日、吉川さんは友に告白することはなかった。